ある日、30代女性が吐き気、息苦しさを感じて病院に駆け込んだら、小麦アレルギーと診断され、「あなたが使っている石けんの中に含まれる小麦由来成分がアレルギー源です」と医師は告げた。2005年からのべ約460万人に4600万個以上販売された石鹸「茶のしずく」によるアレルギー発症はなぜ拡大したのか。
1年以上も放置
小松靖リポーターが今年10月(2011年)までに発症者は471人、うち66人が救急搬送や入院が必要な重篤な状態ですと伝えた。
「最初に厚生労働省に報告が上がったのが昨年9月でした。翌10月には厚労省から消費者庁に報告がされていますが、何の対応も取られていませんでした」
縦割り行政が被害拡大の一因になったというわけで、消費者庁は「事故報告ならすぐに公表するが、事故報告ではなかったので見逃してしまった」と言い訳している。これにコメンテーターの吉永みち子(作家)がかみついた。
「消費者庁は何のために存在しているのか。事故報告なら公表するということは、裏を返せば、事故が起きるまで何もしないということではないか」
10社が回収中「小麦由来成分の石鹸」
小松は「アレルギー症状は全身の腫れや呼吸困難などで、中には歩行困難になった人もいます。小麦アレルギーがもともとなかった人でも、アレルギーの原因物質が目や鼻の粘膜などに毎日少しずつ付着することで発症することがあり、被害件数が今後も増える可能性があります」と言う。
藤巻幸夫(ライフスタイルプロデューサー)「僕もじつは小麦アレルギーでした。咳が余りにもひどかったので医者に行ったら小麦アレルギーと診断された。アレルギーになる原因物質は増えるばかりなのだから、行政の素早い対応が必要です」
「茶のしずく」の製造元である悠香の自主回収の動きを受けて、悠香と同じ小麦由来成分を使っていた10社が自主回収を進めている。
文
ナオジン| 似顔絵 池田マコト