政府・行政刷新会議の「提言型政策仕分け」がきのう20日(2011年11月)から始まり、原子力関係では高速増殖原型炉「もんじゅ」が「抜本的見直し」となり、電源立地地域対策交付金にも厳しい目が向けられた。
高速増殖原型炉「もんじゅ」1兆円投じられ実用化はまだ40年先
「もんじゅ」は1995年にナトリウム漏れ事故を起こし、昨年は炉内の燃料交換装置が落下するなどで止まったまま。これまでに1兆円が投じられているが、実用化は2050年と40年先。いや、本当に実用化できるかどうかもわからない。そんなもんじゅの来年度概算要求額はの215億円だ。
仕分け人は「40年、45年間に1兆円をつぎ込んで、なお40年続けないと完成しない。福島事故の状況下で、こんなことを続けていいのか」と迫り、仕分け人7人全員が計画を抜本的に見直し、再検証すべしとした。 概算要求のうち出力試験分の22億円の見送りを求めた。
しかし、電源立地交付金はそこまでの踏み込みにはいたらなかった。毎年1000億円規模だが、いわば原発とひきかえのアメで、多くは自治体の公共施設や温泉などの整備に使われている。今回はこれらを施設ではなく安全対策に振り向けるべしとなったが、これが提言型の限界だ。
仕分け人は与党の国会議員と有識者で、かつての仕分け人、枝野経産相が仕分けられる側で登場した。枝野は「事故を想定しないで原発をやるのはあり得ない。あり得ないことをやってきたのだから、これは転換しなければな らない。原発がなくてもやっていける社会にするにはどうしたらいいかが、いま政治がやらないといけないこと」と述べた。
この仕分けには法的な拘束力がない。蓮舫行政刷新相は「提言をどう具体化するか、知恵をしぼっていく」と話したが、実効が薄いとなると、この作業そのものが仕分けの対象になりかねない。