「あの安全宣言はいったい何だったのか」
佐藤福島県知事が先月12日(2011年10月)に安全宣言を出したばかりの県内産のコメについて、県は16日(11月)に福島市大波地区のコメから国の基準(1キロ当たり500ベクレル)を超える630ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。国の暫定基準が甘すぎると批判があるなかで、これでは食の不安は募るばかりである。
「イオン」検出したら同じ産地もの全部ダメ
大手スーパー「イオン」は独自に設定した規制値を超える放射性物質が検出されると、同じ産地や漁場でとれた食品の販売を見合わせている。「すごく有難いです」と消費者に好評で、先週さらに放射性物質の自主検査対象品目を拡大した。「とくダネ!」が首都圏のスーパー10社と生協9団体にアンケート調査をしたところ、独自の基準で自主検査を実施中あるいは検討中が7件あった。
自主検査の動きは生産者や消費者の間にも広がっている。福島県では消費者向けに「市民測定所」がボランティアの手で7か所開設されている。検査料は1検体3000円だが、宮城県から訪れた農家の男性は「除染作業をやっていると『バカなことやっていないで』といわれることが多くて…。(安全証明のため)こちらにいろんな作物を持ちこんで測定している」という。
厚労省の見直し来年4月ごろ
一方、国の暫定基準値は「甘い」と批判されていて、これがかえって食の不安を増幅させている。厚生労働省は福島第1原発事故を受け、放射性セシウムの体内被ばくの上限を年間5ミリシーベルトに設定し、これをもとに飲料水(水・牛乳など)は1リットル当たり200ベクレル、コメ・野菜・肉・魚などは1キロ当たり500ベクレルの暫定基準値を設けている。しかし、信頼度は低く、厚労省は基準値を引き下げる作業中だが、改正されるのは来年4月ごろという。食の不安が解消されるのはいつのことか。司会の小倉智昭も「(国は)どういうふうにするのでしょうかね」と諦め顔。