有名無実だった過去3回の事業仕分けが「提言型政策仕分け」と名称を変更して再開するという。今回の仕分けは、20日(2011年11月)から4日間行われる。対象に選んだのは「原子力・エネルギー等」「農業政策における各種支援」「地方財政」「研究開発」「社会保障(年金・医療・介護等)」「公共事業・中小企業支援施策」「外交戦略」。これらのテーマには、福島第1原発事故やTPP交渉参加、デフレ不況脱却など、すでに政府が喫緊の最重要課題として取り組んでいるものも少なくない。屋上屋を架して、何を提言するのか。
これまでもいじりっぱなしで成果なし
独立行政法人の遊休資産や国からの交付金をはじめ、対象分野の制度などについて公開で議論を行うというのだが、それでは効果のなかった前回の事業仕分けと同じである。
今回の仕分け人の『主役』もどうやら蓮舫行政刷新担当相。さっそく14日には報道カメラマンを呼び寄せ、生活保護受給者向けの無料定額宿泊所や日本原子力研究開発機構を視察し、パフォーマンス始動。原子力研究開発機構を視察した感想を次のように話した。
「(職員が)11人泊まるのに3300万円の経費は非効率だと思います」。
ムダを省く成果がなく、思っただけでは意味がない。「とくダネ!」が取材した街の声も「全然期待していない。前と同じ」とそっけない。
「旬を過ぎた葉もの野菜」とっくにしおれてる
政治アナリストの伊藤惇夫はこう言う。
「提言する形だから具体性に欠ける。仕分けそのものが旬を過ぎた葉もの野菜みたい。成果も曖昧なもので終わるのではないですか。だいたい、提言型なら国家戦略室で行えばいい。蓮舫さんを引っ張りだしたのは、もう1度、民主党政策の追い風を期待したいという思惑があるのでしょう」
コメンテーター竹田圭吾(Newsweek日本語版編集主幹)も「そこで出た結論を強制力なしでそれぞれの省庁に検討委員会をつくったりとかするのはムダ」と切り捨てた。
本当にムダを仕分けする気があるなら、会計検査院を強化すればいいこと。単なる政治家のパフォーマンスならもう結構。司会の小倉智昭が「国会議員を仕分けしましょうよ」と吠えた。