宮古、釜石、気仙沼などサンマの水揚げで知られる東北の漁港とタコで有名な兵庫県明石。1000キロ離れた港町で、庶民の味をめぐり異変が起きている。ここにも震災が深い影を落としていた。
材料の冷凍もの供給減って大幅値上がり
リポーターの黒宮千香子が明石から報告する。今年は北海道・根室の花咲港ではサンマの豊漁が伝えられ、いつもより安くて美味しいサンマが食卓に上っているが、明石では値上がりに泣いている。といっても、冷凍サンマだ。
明石はタコやタイばかりでなく、サンマの加工で全国屈指の生産量を誇るサンマの街でもあるのだ。以前はイワシの加工品を生産していたが、イワシがとれなくなり、1960年代から東北の冷凍サンマに目をつけ、冷凍サンマの加工に変更した。漁港の周辺には10数軒の業者が立ち並び、昔ながらの手作業でサンマの開きに取り組んでいる。1枚200円から300円程度なので、相当な数量を生産しないと採算が成り立たない。
だが、今年はその冷凍サンマが昨年に比べ1.5倍から2倍に値上がりしている。流通ジャーナリストの金子哲雄によると、東日本大震災で東北の冷凍庫が大きな被害を受け、保管するところがないため、冷凍サンマの供給量が減ってしまったという。大船渡の冷凍施設は震災前の65パーセント程度の稼働だという。
文
一ツ石| 似顔絵 池田マコト