サッカーW杯アジア3次予選の日本対北朝鮮戦は、15日(2011年11月)午後4時から北朝鮮の平壌で開催。日本を宿敵とする敵地での試合とあって、「恐怖のアウェー」として試合前の緊張ぶりを伝えた。
入国審査に4時間。公式練習よる8時から
日本代表は北京から昨日14日午後3時過ぎにチャーター機で平壌国際空港に到着した。しかし、入国審査や持ち物検査に手間取り、通関したのは午後7時過ぎ。公式練習は午後8時からという異例の事態となった。
サポーターたちも大変だ。日本政府はミサイル発射問題などで北朝鮮への渡航自粛を要請しているが、今回は特例措置として約150人が応援に参加する。だが、携帯電話、望遠レンズ、雑誌、写真データ、ネガ、太鼓などの持ち込みは制限された。
北朝鮮での試合は1989年に0対2で敗れて以来22年ぶり。試合会場は平壌の観光名所でもある金日成スタジアム。金日成前主席が70歳の誕生日を迎えたのを記念して建てられたもので、約5万人収容。北朝鮮はこのスタジアムで負けるわけにはいかない。闘志をむき出しにぶつかってくることが予想される。しかも、ピッチは日本選手が不慣れという人工芝だ。
22年前に北朝鮮で試合をしたサッカー解説者の堀池巧は、「あの時も火花を散らす試合だった。試合以外では、食事が野菜中心でキャベツがいつもいっぱい出ていたのを覚えている。ホテルも会場から遠く1時間半か2時間近くかかった」
マスコミは試合以外のこと選手に聞くな
番組はこうした様々な「アウェーの恐怖ぶり」を紹介するが、選手は意外に冷静だ。入国審査を終えた遠藤保仁(31)は「いい経験だと思ってやっていきたい。これくらい想定していたので気にしていない」。人工芝に関しても、吉田麻也(23)は「オランダでも経験あるので、特別な問題はない」と言い切る。
司会の羽鳥慎一がスピードスケート金メダリストのコメンテーター清水宏保に「こういうアウェーの洗礼はあることなのですよね」と聞くと、清水は選手の立場から正論を述べた。
「気持ちの余裕を持ってやれば大丈夫。大事なことは、マスコミが試合以外のこと、ホテルの状況とか、食事の内容とか、余分なことを聞かないことだ。試合の前は選手に試合に集中させてあげること」
女子サッカーのなでしこジャパンしかり、プロゴルフの石川遼しかり、とかくマスコミは試合とは関係ないことを話題にしたがる。試合に専念してもらい、いいプレーを伝えることこそ、視聴者や読者へのいちばんのサービスだ。