だれもが「エッ」と思った。先週金曜日(2011年11月11日)、プロ野球の読売巨人軍の清武英利球団代表兼GMが突然会見を開いて、ナベツネこと渡辺恒雄球団会長を批判した。いわば飼い犬が手を噛んだのだ。
桃井球団社長と清武代表・GMが決めたヘッドコーチ人事を、渡辺会長が頭越しにひっくり返し、 評論家の江川卓氏を据えるという話だ。会見で清武代表は「鶴のひと声はおかしい。(会長が)プロ野球を私物化するのは許せない」とまでいった。
読売新聞と日本テレビは扱い小さく
ナベツネの独断専行は周知の事実。取材記者へのぶっきらぼうな話しっぷりもおなじみで、「老害」とまでいわれていた。いつか誰かがやるだろうと、誰もが薄々思っていたことだから、新聞・テレビも大きく取り上げた。読売新聞と日本テレビだけは、ちょこっとだったが…。
翌12日に今度は渡辺会長が反論し、「事実誤認、名誉毀損、悪質なデマゴギー」とこれまた痛烈だ。スポーツ紙も中日スポーツ以外は全紙が1面にこの話をもってきて、日本シリーズ第1戦が見事に吹っ飛ぶという前代未聞の展開になった。
コーチ人事について、ナベツネの「クライマックスシリーズ(CS)で惨敗した以上、変更があるのは当然」というのはある意味説得力があった。「江川」の名前は原監督の要請だともいっていた。となると、GMの能力の問題といえなくもない。球団内部のもめ事をいきなり会見で暴露というのも妙な話だ。
スポーツニッポンの宮内正英・編集担当は、「人事は日本シリーズあたりがいちばん動く。清武さんはここで出さないと間に合わないと反乱を起こした。(渡辺氏は)相当驚いていると思います」という。
街の声は「弱いからこうなる」「独裁が長いからああなった」
街の声は正直だ。「弱いからこうなる」「独裁が長いとああなっちゃうのかな」という一方で、「気持ちはわかるし、すかっとしたが、組織を乱したのは清武さんじゃないの」と風向きも変わる。
宮内も「読売の若い人たちはよくいってくれたと拍手喝采。しかし、他球団の幹部・監督らは『何やってるんだ』と、みな清武さんに批判的だった。収拾の先が見えない。一番の被害者は江川君じゃないかな」という。
これに司会のみのもんたがどんなことをいうかと思ったのだが、「どういう決着をつけるんでしょう。楽しみですね」とだけ。コメント陣にも話を振らずに次にいってしまった。なんだ!このよそよそしさは。さんざチョウチンを振ってきたベイスターズで懲りて野球に興味を失ったか。