なぜ大津波警報は届かなかったのか…地震後3分以内に縛られた気象庁

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   地震発生から3分で津波の高さを予測する気象庁自慢の津波警報システムが、東日本大震災ではこれが裏目に出た。地震発生3分後、実際よりもはるかに小さな予測の津波警報が出され多くの人が逃げ遅れた。いつもの避難訓練の際のマニュアルをそのまま読み上げ、緊迫感の欠けた避難指示を出した自治体もあった。

   今回の大災害では、初期情報によって明暗が分かれることを思い知らされたが、「クローズアップ現代」はそうした情報の出し手、受け手が見落としていた盲点を取り上げた。

「初めから10メートルと言ってくれていたら…」

   気象庁は地震の規模や津波の高さをいち早く把握する技術開発に取り組み、まだ揺れが続く中で3分後に津波警報が出せる世界で唯一の国と自信を持っていた。ところが、3月11日(2011年)の大地震で気象庁が最初に出した警報の津波の高さは、宮城県では6メートル、岩手と福島両県では3メートルだった。

   その後、沖合で津波が観測されたことから、30分後に津波の高さを2倍に、45分後にはさらに2倍に引き上げたが遅かった。すでに早いところでは10メートル以上の津波が押し寄せ、最初の警報が小さかったことで多くの人が逃げ遅れた可能性が指摘されている。

   防災無線で3メートルの津波警報を聞いた岩手県釜石市の男性は、「堤防の高さは9メートルあり、いったんは避難する必要はないと判断した。ところが、30分後に津波が堤防の高さまで迫ってきたのに気づいて、妻とともに背後の山に逃げ危ないところを助かった」という。しかし、警報で3メートルと思いこんでいた近所の人は逃げ遅れた。男性は「初めから10メートルと知っていればその人も一緒に連れて逃げたと思う。亡くなりましたが、それを思うと胸が苦しくなります」と涙を流した。

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