列車爆破テロ犠牲者の死の直前に転送される男の意識―そこで彼は何を見たか

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ドンデン返しないけど期待裏切らないラスト

   ダンカン・ジョーンズ監督の前作『月に囚われた男』でも見られたテンポの良さは健在だ。この映画は列車爆破の直前8分間を繰り返すいわゆるループ物。下手をすると単調になりがちだが、主人公が過去に行く度に新たな事実が判明して観客を飽きさせることがない。

   ソース・コードを使って意識を転送するのはタイムトラベルとは異なり、そこで起きた事象は現実世界に影響しない。スティーブンスがたとえ列車テロから乗客を守っても、すでに死んでいる乗客が生き返ることはない。このミッションで重要なのは、犯人の情報のみなのだ。目の前に座っている女性クリスティーナすら助けられないと知り絶望するスティーブンスだが、最後に下した決断は思わず微笑んでしまうほど希望が詰まっていた。

   日本公開のキャッチコピーが「このラスト、映画通ほど騙される」というものだったので、ラストにドンデン返しがあるのかとハラハラして観ていたが、結末は割と素直に終わる。余韻があって良い締め方だった。(全国公開中。配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

おススメ度☆☆☆☆

野崎芳史

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