9年前にノーベル賞を受賞した島津製作所の田中耕一さん(52)らのグループが画期的な技術を開発した。たった1滴の血液からがんなど生活習慣病の早期発見が可能になるというものだ。「ニュースアップ」コーナーで取り上げた。
「命にかかわる病気すべて診断できる可能性」
田中さんの説明では、「健康診断で血液をとるが、血液1滴の中に含まれる微量なものをはかることによって、命にかかわるような病気をすべて診断できる可能性のある有望な方法」という。
アナウンサーの小松靖によれば、その秘密は抗体の「腕」の動きにある。仕組みを簡単に説明すると、人間の体には10万種類以上のたんぱく質があるが、がんや生活習慣病になると抗原と呼ばれる新たなたんぱく質が作られ、さまざまな症状を引き起こす。その抗原を検査したり、破壊したりする目的で体内に入れるのが抗体。だが、抗体は抗原と結びつく能力が限られていた。
そこで田中さんらが開発したのが「可変抗体」。Y字型の抗体の肩の部分にスプリング構造になっている人工の関節を入れることで、腕の部分をグルグル回すことができるようになり、幅広く、高い確率で抗原を捕まえることが可能になった。
2度目のノーベル賞受賞の期待
司会の羽鳥慎一は「血液1滴でいいのなら、患者の負担も減りますね」と言い、コメンテーターの松尾貴史(タレント)も「検診が年1回だけでなく、毎週でも毎月でもできる」と目を丸くする。玉川徹(テレビ朝日ディレクター)が話すように、「検査だけでなく治療にもつながる。抗体に放射性物質や抗がん剤を付けてがん細胞を攻撃することも可能になる」
病気の早期発見ばかりでなく、新しい治療法、新薬開発、コスト低減などに役立つと期待は大きい。
羽鳥「ノーベル賞までとった人がひと休みせず、どんどん研究開発を続けたからこういうことになったわけですね」
「本人は研究が本当に大好きだとおっしゃっていました」と小松。
松尾「2回目のノーベル賞、いくかもしれませんね」
2002年にノーベル化学賞を受賞した時の黒髪にやや白髪が目立つが、研究成果を説明する表情は若々しい。まだ52歳、夢は広がる。