10日夕方(2011年11月)の野田首相のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加表明。既定のスケジュール通り、民主党の経済連携プロジェクトチーム(PT)の提言を受けてのものだ。賛成派、慎重派と党内を2分しての激しい論戦の末にまとまったかに見えるが、日本の将来像を見据えた実りある議論だったのか。「モーニングバード」は舞台裏を検証した。
山田正彦前農相「われわれも一所懸命主張した」
リポーターの清水貴之が報告した。民主党のPTは昨日(9日)総会を開き、提言をまとめた。会議が始まる前に慎重派の代表格、山田正彦前農相は「徹夜をしてでも交渉参加阻止を」と訴えたが、午後5時半に始まった会議は10時半過ぎには終了した。「報道陣も遅くなることを覚悟していましたが、意外にあっさり終わりました」と清水。
まとまった提言は、(1)国民への十分な情報提供(2)幅広い国民的論議を行う(3)慎重に判断するといった、ごく当り前な内容だ。(3)の「慎重に」の3文字は前日の役員会案にはなかったが、総会で新たに付け加えられた。
午後11時すぎ、会議終了後に山田は待ち構えていたハチマキ姿のJA関係者に「なぜ反対の文字を入れなかったのか」と詰め寄られ、「われわれも一所懸命主張したが、今できることはここまでだし…」と釈明するのが精一杯だった。
司会の羽鳥慎一が清水から提言の説明を聞いて、「この3つの内容を見ても、全部あいまいだなという感じがしますが」
コメンテーターの松尾貴史(タレント)「TPPだけでなく、何をするときも当てはまることですね」
ゴール決まってた政治ショー
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)は今回のTPP論争について、「声高に反対している議員の人たちはいったい何を守ろうとしていたのか、ずっと気になっていた。日本の農業なのか、それとも自分たちの票田なのか」と厳しい疑問を投げかけた。そして、最後に山田がJAの関係者に詰め寄られているのを見て、「私は頑張りましたよというところが落とし所だったのかと見えなくはない」と指摘する。
松尾も「もうゴールが決まっていて、あきらめもある中、これだけ頑張ったというポーズを見せたかった」と同様の見方をした。
すったもんだのTPP論議、過去にも繰り返されてきた政治的ショーだったということか。