鳴門親方「暴行・薬剤疑惑」の中の急死―部屋出身の元力士「私にはなかった」

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   「おしん横綱」といわれた大相撲の鳴戸親方(元横綱隆の里)が7日(2011年11月)、急逝呼吸不全で死去した。59歳、週刊誌で稽古での暴行疑惑が報じられている最中の急逝だった。関脇稀勢の里ら有望力士を育て、後進の指導にも定評があったが、厳しい指導の裏に何があったのか。

初代若乃花の教え守って「弟子に厳しい稽古」

   青森県出身で、初代横綱若乃花の故二子山親方にスカウトされ角界入りした。入門当時体重100キロという恵まれた体で将来を期待されたが、糖尿病に苦しみ、昇進の歩みは遅かった。病気を克服して晴れて横綱になったのは30歳のとき。辛抱して稽古に励んだことから、当時のテレビドラマ「おしん」の主人公の苦労と重ね合わせて「おしん横綱」と呼ばれた。

   引退後は親方として、若手の育成に当たった。土俵の鬼といわれた二子山親方から受けた教えを踏襲、厳しい稽古で弟子を鍛えた。同部屋だった松ケ根親方(元大関若嶋津)も「稽古に関してすごい厳しい方で二子山さんの教えを守って立派な関取りを育てた」と話す。

時代に合わなくなっていた指導法

   だが、最近の週刊誌では「精神注入棒」という角材で殴るなどの暴行があったと伝えられている。また、力士の体重を増やすために糖尿病治療薬のインスリンを注射した疑いも出ている。

   これに対し、鳴戸部屋出身のスポーツコメンテーター尾崎勇気さん(元関脇隆乃若)は、厳しい親方だったと認めながら「(暴力か指導かどうかは)受けた側の捉え方の問題。私自身に関しては、行き過ぎた指導を受けたことはなかった」といっている。

   ゲスト出演した相撲ジャーナリストの中澤潔は「今の50歳以上の親方には体罰を受けて、それに耐えたから強くなったという思いがあるが、自分が受けた指導をそのまま若い人に押しつけるだけでは時代に合わなくなっている。相撲を後世に残していくためには、指導方法をもっと勉強して近代化していかなければならない」と注文をする。

   八百長問題や暴行問題であれだけ騒がれながら、改革の成果より不祥事の話題が途切れない。「待ったなし」「剣が峰」。このままでは、そんな言葉にも愛想を尽かされるだけだろう。

文   一ツ石
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