「ふつうの25歳の田舎っぺの女の子なんです」
そんな自己紹介をする町会議員が新潟県津南町に誕生した。東大大学院2年の桑原悠さん。「ニュースアップ」のコーナーで紹介した。
2位に大差のトップ当選
選挙は10月30日(2011年)に行われた。定数16に対し17人が立候補。桑原さんは1144票を獲得し、2位の得票数の2倍という大差でトップ当選を果たした。立候補を決意したのは、東日本大震災翌日の3月12日に故郷の津南町を襲った地震。「地元が揺れているのを見て何とかしなければ」と思った。雇用の問題、高齢化の問題などを総合的に考えた結果だという。
8月に東京から引っ越し、選挙準備を始めた。といっても、選挙資金は貯金の70万円以内におさめなければならない。自分の車に手作りのプリントを貼って町内を回った。白い手袋は家にあった軍手だ。選挙中のビデオを見ると、掛け軸のある部屋にボードを置き、「日本900兆円 GDP480兆円」などと書いて、日本の財政状況を説明している様子が映っている。
ふだんは学生だ。当選証書を受け取った日も新幹線で学校へ。車中では新人議員の研修資料を勉強。午後は授業に出席し、当選の報告をした。
「友達はじめ、若い人に動いいてもらった。もしかしたら、最後は人柄かもしれないなと思った。でも、私の人柄がいいと言っているのではないのですよ」
ゼミの先生は岩手県知事の経験もある元総務大臣の増田寛也・客員教授。「地域の皆さんの温かい声援が彼女に寄せられた。フレッシュな人材に期待感が集まった」と見ている。
SNSで発信して「もの言う若者」が地方議会に続々進出
司会の羽鳥慎一「立派な25歳ですね。どうですか、珠ちゃん(司会の赤江珠緒)、ご自身を振り返って」
アナウンサーの小松靖によると、最近、地方で若手の議員が続々誕生しているという。その背景について、増田客員教授は「将来の年金額などが次々に決まっていく政策に不満を持つ若者が増えたことや、ソーシャルネットワークが発達し、自分たちから発信する手段が増えたこと」と分析している。
コメンテーターの城西国際大学非常勤講師の宮田佳代子は、「まず、彼女を選んだ選挙民に拍手を送りたい。今の大学生は大人とのコミュニケーションにつまづくことが多い。自分の思っていることを実現するには、どうやってまわりの大人たちに説明できるか、そのしたたかさを持つことが重要」とアドバイスする。