内閣府の園田康博政務官がきのう31日(2011年10月)の政府・東京電力の合同会見で、福島原発の低濃度汚染水を浄化処理した水を飲んでみせた。記者から「安全というのなら飲んだら」といわれてのことだったが、言う方も飲む方もちょっとずれてないか。
「大丈夫というなら飲んで見せろ」
この水は津波で福島原発5、6号機の地下に流れ込んだ水。放射能は低濃度で、東電はこれを浄化処理したものを発電所内で伐採した樹木が自然発火するのを防ぐために散水していた。その水が安全かどうかに、東電は「口に入れても大丈夫」といっていた。
10月13日の会見で、フリーのある記者が「菅さんのカイワレダイコンの例もある。東電が口にいれても大丈夫というのなら、コップ1杯くらいどうでしょう」と言い出した。園田政務官は「いつでも」と受けて、この日のパフォーマンスとなった。水は22日に処理水のタンクから採取され、放射性ヨウ素、セシウムは検出できないほどのレベル。ただ、雑菌などがあるため、煮沸消毒したという。東電によると、海水浴場の水質基準もクリアしているという。
とはいえ、飲料水ではないものを「飲め」というのは無茶な話。もともと食い物であるカイワレダイコンとは話が違う。しかし記者はさらに「それで安全性の証明になるのか」といい、園田政務官は「完全に安全だと申し上げるつもりはない」といったのだから、ちょっと待てといいたくなる。
「そんな話じゃないだろ!」スタジオあきれ顔
河合薫(健康社会学者)「飲めと言う方も言う方だが、飲む方も飲む方。いま求めているのは安全なのだから、かえって不安になる」
司会のみのもんた「小学生がケンカしているような…」
杉尾秀哉(TBSテレビ報道局解説・専門記者室長)も尾崎弘之(東京工科大教授)も「安全といっても、飲みたくはない」「話が違う方へいっちゃってる」という。まったくだ。
これには前段があった。10月10日 の会見で、別のフリーの記者が「第1原発に立ち入れないのだから、東電のいうことを信じるしかないが、飲んでも大丈夫というのなら…」と切り出したのがそもそも。それが売り言葉に買い言葉で、「飲めるか」「飲もう」とは、大人のやることか。ポイントはそこじゃない。東電が原発に記者を入れないことが不信を呼んでいる。