きょう31日(2011年10月)の「みの味」コーナーは「ニュース・ブツ出し」だ。「被災地を救う町工場発のすぐれもの」とある。テーブルの上には妙な箱。そこからアルミの取っ手みたいなものが出ている。
ものづくりで知られる東京・大田区の町工場。ここで金属加工を40年以上行っている東新製作所が、ちょっと変わった形のスコップを作った。アルミ板を切って曲げて、できた箱に取っ手がついている。ちり取りに似てなくもない。これが「大田すくいの手」だという。
スコップでは難しい床下作業
津波の被害にあった住宅はどこも床下に大量の汚泥が流れ込んだ。かき出し作業はいまも続く。床板をはがして梁の間の狭いすき間に立って手でかき出すしかない。これに多くのボランティアが参加しているが、スコップは入れにくく、泥は重い。
大田区で救援ボランティアをしている小野紀之さんは、4月から東北の現地に入っているが、「大きなスコップだと翌日手首にくる。そこで町工場にいいものをつくってもらえないかと頼んだ」のだのだそうだ。掻きだし作業に合った形はどんなものがいいか。スコップの長い柄は狭いところでは邪魔になる。腕への負担も大きい。ボランティアのアイデアをもとに、町工場が試行錯誤して4か月。ようやく形になったのが「大田すくいの手」というわけだ。
おととい、大田区のボランティア26人が宮城・東松島市で汚泥かきだし作業を行った。「すくいの手」の初の出番だった。女性の1人は「作業が楽になった。スコップほどの負担がかからない」と話す。東新製作所は震災義援金で量産して、明日から東松島市に順次届ける。