牛丼チェーン店「すき家」に強盗被害が多いことは以前から指摘されていたが、今度は抜き打ちの防犯体制の点検の最中に襲われた。何とも不用心な話だ。
今回事件が起きたのは昨日26日(2011年10月)の午前3時50分ごろ。東京都国分寺市のすき家国分寺本多店に若い男が押し入り、店に1人いたアルバイト店員を包丁のようなもので脅し、現金約5万5000円を奪って逃走した。
「成功しやすいからお前もやってこい」
すき家の被害の多さは異常だ。昨年、牛丼チェーン店が襲われた強盗(未遂も含む)事件は68件あったが、うち58件がすき家だった。今年に入っても9月までの71件のうち63件がすき家だ。
なぜ、すき家が狙われるのか。こんな話を紹介された。京都市内のすき家を襲った疑いで逮捕された容疑者(25)は、ヤミ金業者から約5万円の借金をしていたが、ヤミ金業者から「すき家の強盗は成功しやすいからお前もやれといわれた」と供述しているという。コメンテーターの松尾貴史(タレント)は「強盗をそそのかすなんて、とんでもない話だ」と怒るが、そんなイメージが広がっていたのだ。
レジ近く、店内に多額の現金、アルバイト1人
リポーターの清水貴之が警察が指摘するすき家の防犯上の問題点をあげる。
(1)レジが入口に近く、1台だけなので狙いやすい。
(2)店内に多額の現金がある。
(3)夜間はアルバイトが1人だけの店が多い。
他の牛丼チェーンはレジの分散や券売機導入などの対策をとっている。すき家も防犯カメラを全店に設置したほか、券売機の一部導入や夜間の複数勤務体制を強化するなど対応をとるそうだ。コメンテーターの立花胡桃も「私もコンビニとかいろいろアルバイトの経験があるが、5万円以上は金庫に入れるなどの対策をとるべき」と話す。
運営会社のゼンショーはマクドナルドを抜き外食産業の売り上げトップを誇る。女性や家族連れにも親しみやすい豊富なメニューや店舗作りにこだわっている。小川賢太郎社長は「安かろう悪かろうという時代はとっくに終わった。商品のクオリティーをどんどん高くしていく」と積極的な経営姿勢だが、今後は防犯体制の向上も課題のひとつだろう。いつ客が巻き添えになるかわからない。