<謎解きはディナーのあとで(フジテレビ系10月18日よる9時~)> 櫻井翔主演の連続ドラマとしては「特上カバチ!!」以来のお目見え。枠は二宮和也のヒットドラマ「フリーター、家を買う」でおなじみのフジの火10。原作は東川篤哉の同名推理小説で、今年4月(2011年)に「本屋大賞」を受賞したことで売れ行きに弾みがついて、現在160万部のバカ売れだという。
世界的な企業グループの令嬢で新人刑事の麗子がさじを投げた事件を、執事の影山が推理して解決に導いていくお話である。影山に櫻井翔、麗子に北川景子がふんする。
「自分の中に執事という土壌が全くないので、いろいろなタイプの執事を見ながら探っています」という櫻井は、執事指導者にマンツーマンでコーチを受けたり、本や映画を観ては役作りに励んだという。慣れない敬語や執事の所作に四苦八苦しながらの挑戦だ。
「お嬢様はアホでいらっしゃいますか」
第1話は、派遣社員の瞳がブーツを履いたまま自宅で死んでいた。死因は窒息死。別の場所で殺されて運ばれてきたのか、足跡がない。さっそく麗子は行き詰まってしまう。そこで影山がキツイ一言。
「この程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか」
原作は部屋から出ず現場にも行かない「安楽椅子探偵」の手法だが、ドラマでは執事の活躍がメインになる。オリジナルの仕掛けとして、現場に出没して真相を嗅ぎ回る姿が入る。
それ以外は櫻井と北川の夫婦漫才風の掛け合いシーンなので、少々モタれる。せりふが「渡る世間は鬼ばかり」並みの量だし。ポーカーフェイス、慇懃無礼な中にも毒舌、暴言を織り交ぜしゃべり倒す櫻井は、新境地を開拓。「影山のようにしゃべれたら快感でしょうね」と言いながら、ドSキャラを堪能している様子だ。
蝶ネクタイに眼鏡、細眉の櫻井に萌えた視聴者続出で、18・1%の好視聴率(ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録。今後はスーパーヒーロー並みの執事の活躍だけでなく、アホ呼ばわりされながらも少しづつ成長していくお嬢様の見せ場も作ってやらないと、気の強い北川のヒステリーが起きそうだ。
知央