洪水が国土の3分の1を覆い、なお被害が拡大中のタイから、きのう17日(2011年10月)に続き岸本哲也リポーターが伝えた。
住民は「それどころじゃないよ!」
タイ中部にある最大のナワナコン工業団地にも浸水が始まり、タイ政府は団地内の工場の操業停止と従業員の避難を命じたという。ここにはNECやカシオ計算機など日系企業約100社が入居している。アユタヤのホンダ工場が浸水し、従業員3900人を一時解雇したと前日伝えたが、これはどうやら誤報だったようだが、アユタヤ工業団地で被害を受けている日系企業は延べ約400社にのぼっている。
湖と化したアユタヤでは、観光用に繁殖されているワニ約100匹が逃げ出した話も伝わってきた。タイ政府は捕獲した人に懸賞金1000バーツ(日本円で約2500円)を支払うという。しかし、「とくダネ!」によると住民はほとんど関心がないようだという。押し寄せる大水に、ワニなんか追っかけている場合じゃないということなのだろうか。
首都バンコクも水没寸前
洪水は首都バンコクに迫り、知事が緊急記者会見して「明日(18日)夜までにバンコク北部が洪水になる可能性がある」と発表した。岸本によると、首都を守る堤防の高さは2メートル50センチ、チャオプラヤ川の水位は現在2メートル7センチ、43センチの水位差を船のスクリュー作戦と水門の開け閉めで何とかしのいでいるという。
タイが好きで年に3~4回出かけるという作家の蝶々は、「災害慣れしているのか、深刻度は日本と違う。商店も小さなボートを用意していて、それに乗ってサービスしている」と話す。
竹田圭吾(ニューズウイーク日本語版編集主幹)「被災者はおよそ900万人にのぼり、ほぼ九州全部が被災している規模になっているようですが、日本も大震災の際にタイの人たちに支援してもらっており、日本もサポートを考える必要があると思う」
どこをどう支援していいのか規模が大きすぎて見当がつかないのか、日本政府が緊急支援隊を派遣する話は聞かない。