東京電力・福島原発事故による放射能汚染は、収束・低下の見通しが立たないまま7か月以上がたったが、実際に毎日の食事でどのくらいの放射能を摂取しているのか。野菜や魚、肉などの食材ごとの放射線量は発表されるが、それらを調理して食事として食べたときの放射線量を「あさイチ」が調査した。
有働由美子キャスター「(不安を)少しでも解消しようと食卓の丸ごと調査です」
調査した家庭は北海道から広島までの7家族。1週間に食卓に上った普段通りの食事を1食ごとにわけて送ってもらい、専門機関が計測した。
北海道、福島、東京、大阪、広島の7世帯
立命館大学の安斎育郎名誉教授(放射線防護学)は「私がやりたかった調査。あさイチに先を越された」と苦笑いしたが、調査は1日3度の食事の一人分をミキサーで砕き、「普通の検査は約20分程ですが、今回は2時間で厳密にやりました」(首都大学東京の研究室・副士政正教授)という。はたして、その結果はどうだったのか。
☆福島・郡山の家庭―風評被害で売れ行き不振の地元産の野菜・卵などをあえて購入し食卓に乗せている。(放射性セシウム検出ゼロ)
☆福島・須賀川の家庭―農家なので家で食べる野菜はほとんど自家製。水も敷地内の湧き水。(セシウム134が3.66ベクレル=Bq/キログラム)
☆東京・江戸川区の家庭―豚肉や卵は長崎産、牛乳は北海道産と徹底した選別買い。(セシウム134が4.05Bq)
☆東京・目黒区の家庭―産地気にせず購入。(セシウム137が8.97Bq)
☆北海道・札幌の家庭―地元北海道の食材がほとんど。(セシウム134が5.69Bq)
☆大阪・岸和田の家庭―スーパーで買い物すると結果的に地元の野菜が大半。(セシウム134が3.4Bq)
☆広島・廿日市の家庭―地元の食材。(検出ゼロ)
ただ、セシウムが検出された家庭の食事でも、これらの数値は1週間の食事のうちの1日だけ。他の6日間はゼロだ。それぞれの年間被曝線量を見ると、東京・江戸川2.5マイクロシーベルト(μSv)、目黒4.3μSv、北海道・札幌7.5μSv、大阪・岸和田3.1μSvで、「国が決める暫定基準値の5000マイクロシーベルトは超えない数値」と小林孝司アナは報告する。
「意外に低かったけど、関心持ち続けて」(専門家)
この結果について、安斎郁朗名誉教授はこう話す。
「専門家としては、意外に低かったなという印象で安堵しました。これなら、もう汚染に関心を持たなくていいのかというと、そういうことじゃないんですね。放射能は気まぐれに飛びますから、調査したこの1週間だけがたまたま低かったということも可能性としてはありますから。これからも関心を持ち続けてください」
キャスターの柳沢秀夫解説委員「魚を食べる日本文化から見れば、魚の検査をもっとやって欲しいよね、長期間の検査を」
意義のある食卓丸ごと調査だったが、庶民の心配度を考えたら、この手の調査は本来は国がきちんとやるべき事ではないのか。
(磯G)