笠井信輔アナが「日系企業315社が被害を受けていて、単なる海外ニュースとして捉えてはいけません」と伝えたのはタイの洪水。7月(2011年)から降り続き、50年に1度という異常降雨でタイの中心部を流れる最大のチャオプラヤ川が氾濫。アユタヤ県では町全体が湖と化し壊滅状態という。
岸本哲也リポーターが16日(10月)、日系企業が集中するアユタヤの工業団地にいた。
川に1000隻の舟並べ「水押し戻せ」
パイオニアの工場は1階部分が完全に水没し窓が見えなくなっている。東南アジア向けにアコードなど乗用車を製造しているホンダの工場では完成車が水浸し。4000人の社員のうち現地従業員3900人は一時解雇したという。
岸本によると、今月末までが雨期で、毎日夕方になるとスコールのような雨が降っており、いつ水が引くか見通しが立たない状況だという。普通なら1袋100円ほどの土嚢が品不足で今や1000円に高騰しているらしい。
16日からは大潮に当たり、海水がチャオプラヤ川を逆流する恐れがある。さらに、湖と化したアユタヤ県の水が下流の首都バンコクに押し寄せ大洪水の恐れもある。
タイ政府は「首都防衛」に取り組み心配ないとしているが、その方法に笠井が「極めて原始的」と驚いた。1000隻ほどの船をチャオプラヤ川に浮かべ、船尾を海側に向けて一斉にスクリューを回して川の流れを早くさせる方法だ。また、バンコクを取り巻いている盛り土でかさ上げした道路に土嚢を築いて防衛ラインをつくり、バンコク市内に水が入ってこないような作業も進められているという。これには、その外側にいて見捨てられた形の住民から苦情が出ているというが、首都を守るにはこれしかないという何でもありの事態のようだ。