役人が退職後を食いつなぐ悪知恵がまた明らかになった。今度は、国が定める資格、検査検定だ。ほとんど必要のない講習や資料で金をとり、天下りの原資にしていた。
総務省が調査で明らかにした。公益法人が実施する資格313のうち108、検査検定134のうち31を調べたが、 その報告書が473ページ。「手数料が高すぎる」が51件、「不必要な積立金」が23法 人で121億円。天下りは役員50人中30人だった。
川端達夫・総務相も「経営がずさん。受講料が適正でない」と話すが、資格や検定が400以上もあること自体が驚きだ。今回はその4分 の1弱を調べたに過ぎない。それでも、40%が高すぎる料金をとっているとして改善勧告を出した。その数は13の府省庁に及ぶ。
億単位の使途不明金、協会役員全員が元役人
具体的にはどんなケースなのか。
「医療機器 販売営業管理者」―コンタクトレンズの販売などに必要な資格だ。資格取得後、毎年、(社)日本ホームヘルス機器協会が行う継続研修が必要。受講料は6000円。協会は毎年1000万円以上の剰余金があり、使途不明の資産が3億8000万円もあった。受講者は、「全く必要のない講習。お金は天下りを養っている」と いっている。
「気象予報士」―(財)気象業務支援センターが行う試験は年2回、9000人以上が受験する人気資格だが、受験料は1万1400円。一部学科試験免除の規定はあるのだが、受験料は満額いただく。合格者は毎年200人前後で、合格率は4~5%と低い。15回受験したという男性(55)は、「実技試験だけでも受験料は同じ。安くしてほしい」という。センターには使途不明瞭な積立金が9800万円あった。
「水道技術 管理者」―(社)日本水道協会が行う講習会では、2万円もの立派なテキストを買わせながら、講習ではこれを使用せず。
「無線従事者」―受験料は4500円から1万8800円だが、「気象予報士」同様、試験免除でも受験料は満額。(財)日本無線協会には使途不明の積立金が1億2270万 円もあった。協会役員4人は全員、職員も62人中40人が天下りである。
「理容士・美容師」―昨年の事業仕分けで講習は廃止とされたのに、今年も実施されていた。講習料1万8000円。(財)理容士美容師試験研修センターの積立金は4億9600万円。天下りは2人だった。
独占企業だから勝手に決めてる受講料、更新制度
公益法人の改革は小泉政権が抜本改革を閣議決定したり、昨年の事業仕分けでも取り上げられたが、いっこうに改善されないのは、天下りの原資が必要というより、法人そのものがそのためにつくられているからだ。みな独占事業だから料金も勝手に決められる。
司会のみのもんた「みんながムダだと思ってるのに、なぜ?」
事業仕分けにも携わった土居丈朗・慶大教授は、「独占だから効率が悪い面がある。試験だけならそんなにお金をとる必要はないが、天下りがあるから」という。
みの「どうすればいいのか」
土居「資格が必要なものは残すとしても、指定制度を廃止すべきだ。講習は民間でもできるし、制度を守ることもできる」
みの「だいたい仕分けって何だったんですか」
土居「1度でダメなら2度、3度とやらないとダメでしょうね」
柿崎明二(共同通信政治部次長)によると、この調査をやったのは総務副大臣だった渡辺周議員で、いまは防衛副大臣に変わったので、うやむやになる可能性もあるという。となると蓮舫さん頼みになるのか…。