家族ラブのおじさん主人公がとにかく素晴らしい
また、「近親者の死」という重いテーマながら暗くない。いや、むしろ明るい。ユーモアのきいた小気味よいナレーション、軽快な音楽とリズミカルな場面展開もあいまって、ここまで観やすく、しかも楽しい作品に仕上がっているのは驚きである。ここでも監督のバランス感覚の良さが光る。
とにかく主人公の砂田知昭のキャラクターがなんといっても素晴らしい。特技は「段取り」と「空気を読む事」という彼は、親戚の中に必ず一人はいそうな『家族ラブ』なおじさん。自分の始末は自分でつけないと気がすまないという几帳面な男だが、決して頑固者というわけではなく、どんなに病状が悪化しても家族のことを思いやり、孫が顔を見せると途端に元気になる姿がほほえましい。説得力という点では、どんなに演技の長けた役者でも彼にかなう者はいまい。ラストは思わず涙を誘うのでハンカチは必須。観ておいて絶対に損はない今年有数の作品だ。
バード
おススメ度:☆☆☆☆☆