国が責任を持って除染をしなければならない高濃度の放射線汚染地域が、群馬県や千葉県にまで及んでいることが分かった。これまでの「点」の調査から、文科省が初めて地表面に付着した放射性線量を含む空間放射線量の調査を行った。
チェルノブイリ「汚染区域」と同レベル
調査をもとにした汚染マップを見ると、福島第1原発周辺は極めて危険な赤、黄、緑に塗られ、さらに放射性セシウムが年間3万ベクレル以上を示す青い帯が群馬県北部の山間部や千葉県柏市まで延び、東京都や埼玉県の県境にまで達している。この青い帯はチェルノブイリ原発事故で「汚染区域」とされる3万7000ベクレルに匹敵する数値だ。放射線防護学が専門の野口邦和・日本大専任講師は次のように話す。
「これまで山間部の汚染状況は分からなかったが、全体状況が把握できて、良い資料になると思う。ただ、濃度の高いところの地表を細かい間隔で計測しないと、このままのデータでは除染そのものには使いにくいでしょうね」
いくらかかるか分からなくなってきた除染費用
なぜもっと早く「面」の調査をしなかったのか。「とくダネ!」はいまも継続して調査を行っている山梨県の現場を取材した。調査は1台4000万円するという放射線検出器をヘリコプターに搭載し、地上150~300メートル上空をくまなく飛行しながら放射線の情報を収集する。この放射線検出器は米国エネルギー省から借りたものだという。
政府は年間被曝線量が1ミリシーベルト以上の地域については、政府が責任を持って財政支援を行うと明言しており、細野豪志環境相も「1兆円の予算をつけており、当面はこれでやれると思う」と胸をはる。しかし、調査をするたびに汚染地域が広がる現状では、実際にいくらかかるか分からない。
司会の小倉智昭「ひと口に除染といっても費用と人が必要で、かなり困難を極めると思う。どのくらいおカネがかかるか見当もつかない。どうなんでしょう」
野口講師「(除染は)町と住民が一体となり、政府も財政支援をしないとできない事業でしょう」
面の調査はこれから新潟や東京、山梨、神奈川などでも行われるが、除染が必要な汚染地域が増える可能性がある。