NPO法人「日本チェルノブイリ連帯基金」(本部・松本市)はきのう4日(2011年10月)、基金が行った福島の子どもの甲状腺調査の結果を発表した。それによると、一部で甲状腺機能に変化が見られ、被曝した可能性もある事例があったという。
先月末、政府は計画的避難準備区域の指定を解除したが、住民は除染が進まない現状では、なかなか帰宅はできない。とくに子どもへの影響には神経質にならざるをえない。福島県は今月9日から飯館村、浪江町などで、子どもを対象に甲状腺の先行検査を行う。その矢先の発表だけに気になるところだ。
2人は福島原発事故で被曝した可能性
調査は連帯基金と信州大学付属病院とで7月と8月に行われた。夏休みに茅野市を訪れた福島の子どもたちのうち、希望した0歳から16歳の130人が検査を受けた。緊急時避難準備区域に住んでいた子どももいた。この結果、10人に「甲状腺ホルモンの機能が基準値を下回る」などの変化が見られたという。
発表で連帯基金の鎌田實理事長は、「大変なことが起きているということではない。福島原発との関連は医学的にははっきりしないが、2人は被爆した可能性が否定できない」と話した。その鎌田理事長に司会のみのもんたが電話で聞いた。
みの「どういう検査をしたんですか」
鎌田「子どもの状況を聞きました。お腹が痛いが15%、 鼻血が出るが12%、眠れないが20%とか、不安を抱いていることがわかり、触診や血液検査などで基準値を超えるケースがあったということです」
みの「基準値とは何の基準なんです?」
鎌田「これなら正常とされる標準値があります。それを超えたらすぐ病気というわけではないが、もしかしたら原発事故と関係があるかもしれません。断定はできませんが…」
みの「何項目くらい調べられたんですか」
鎌田「甲状腺ホルモンと脳下垂体ホルモンとかも調べています。そして、甲状腺のホルモンが少し下がっている子どもがいました」
異常の早期発見は可能
みの「被曝の可能性は?」
鎌田「否定もできないが、断定もできません。放射性ヨウ素は半減期が8日ですからもう消えていますが、このうちの何人かは慎重にフォローすることが大事。むしろ、親御さんに安心してもらおうかと、チェルノブイリの経験豊かな信州大学付属病院の小児科の先生方に協力してもらいました」
みの「たとえば甲状腺に異常が見つかっても、フォローによって払拭できるんでしょうか」
鎌田「内部被曝しても、80日でほぼ身体からなくなります。万一のことがあっても早期発見はできます」
鎌田理事長は諏訪中央病院の名誉院長。チェルノブイリやイラクで医療支援活動を続け、今回も福島で妊婦への放射線調査などを続けている。「専門家は現地の人と同じ土俵で議論し考えるべき」が持論。だれも答えを持っていない放射能問題を考えるうえで頼りになる人だが、このニュース、一部新聞は無視しているのが気になる。