お茶や野菜、牛乳などの食品から次々と検出されるセシウムなどの放射性物質は、はたしてどこまでなら安全なのか、どこから危険なのか、諸説入り乱れていて消費者の不安は尽きない。放射能検査の最前線をレポートした。
隣り合わせでも検査する自治体しない自治体
国谷裕子キャスターは「放射能検査で安全が確保されるとは限りません。自治体により検査態勢にバラツキがあり、全国で同じ基準でとなっていないからです」と足並みが揃っていない現状を伝え、さらに県によっては放射能検査が行われていない空白地域があり、「福島県ではほぼ全域で検査が行われていますが、埼玉県では17の市町村で検査が行われていませんでした」と伝えた。
その具体例の一つとして狭山茶のケースを紹介した。狭山茶の産地は埼玉県の入間、狭山、所沢、鶴ヶ島、日高などだが、このうち検査が行われているのは入間、狭山、所沢で、鶴ヶ島と日高は検査の対象外とされていた。その結果、市場に流通している狭山茶の一部から国の暫定基準値の2倍に及ぶ放射能が検出された。
ゲストの立命館大学名誉教授・安斎育郎はこう言う。
「検査体制は整いつつあるが、それでもまだ検査をすり抜けるケースがある。検査態勢のさらなる改善が必要です」
基準値以下でも高数値…食べていいのか?
国谷は「検査の時期も問題です」と言う。狭山茶は5月上旬から摘み取られていたが、検査が始まったのは5月中旬からでタイムラグがあった。
安斎教授「時間差があっては検査の意味がなくなってしまいます。また、ホットスポットと呼ばれる放射能が高い場所もあり、そういう地域での検査をどう行うのか、検査のやり方を考え直す必要があります」
都内のある生活協同組合は1600品目の商品を1日60品目ずつ検査し、結果をホームページで公開している。シイタケから431ベクレルと暫定基準値に近い数値が検出されたときは、販売を中止した。
国谷が「基準値以下でも高い数値が出たとき、その数値をどう受け止めればいいのでしょうか」と聞く。安斎教授は「数値解釈のルール作りが必要でしょう。かといって、過度に恐れず、怖がらず、自分でリスクを判断するという姿勢を持たなければなりません。放射能にはさまざまなリスクがあるということを肝に命じておいて欲しいですね」とアドバイスした。
ナオジン