いまひとつ、スッキリしない腹の決め方だった。埼玉県朝霞市の国家公務員宿舎の建設問題だ。野田首相が決断した「5年間凍結」の真意について、「モーニングバード!」では疑念や不信の声が強く出た。
宙ぶらりんのまま5年
「一番やってはいけない決定だった」と怒るのは、地元で建設反対を訴えている朝霞基地跡地利用市民連絡会の大野良夫代表。
「5年間凍結となると、建設費の105億円がその間、宙ぶらりんになる。その金を震災復興に回してほしいと訴えていたのに」
決断が遅れたために、3万平方メートルの敷地に560本あった樹木が400本も切られ緑の森も失われた。朝霞市の小澤隆副市長も「つらい結果になった」と語る。宿舎には保育所や夜間診療所など、市の関連施設も建設されることになっていた。先行き不透明のまま手をこまねいているわけにもいかず、「早く代替の土地を見つけるよう模索していかなくては」と焦りの表情だ。
政治家や官僚の言葉はよくよく注意して解釈しなければならない。「凍結」について、安倍・福田内閣の渡辺行政改革担当大臣の補佐官で、株式会社政策工房社長の原英史氏は「中止ではない。5年間はやらない。いつかはやる」という意味だと言う。
文
一ツ石