電気料金6000億円取り過ぎ―保養所維持費や慶弔費も上乗せ

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   東京電力の経営状況を調べていた「東電に関する経営・財務調査委員会」が報告書をまとめ、3日(2011年10月)に野田首相に提出した。報告書では需要者から徴収する電気料金の問題点が指摘された。総括原価方式と呼ばれている電気料金の算出方法だ。燃料や人件費、修繕費など電気事業にかかわる原価に利益を上乗せして電気料金を決めるのだが、福利厚生のためのグラウンドや保養施設の維持管理費からサークル活動費、慶弔費まで原価に入れていた。この福利厚生費は年間542億円という。

東電「電気事業のためには必要な経費」

   東京・杉並区の住宅街のど真ん中にある総合グラウンドの敷地は東京ドームと同じ広さ。野球場やテニスコート、プールまである。相模湾が一望できる高台にある熱海の保養地、何に使われているか分からない銀座の一等地にある瀟洒なビル…。報告書は過去10年間で約6000億円の料金取り過ぎがあった可能性を指摘した。

   リポーターの森本さやかが東電の会見でこの点を質問すると、「基本的には、電気事業を遂行する上で必要な経費だという認識で計上させていただいている」という答えが返ってきた。

公益事業は「総括原価方式」必要悪?

   スタジオでは、きょうが初登板という元ユニクロ社員で経営コンサルタントの田中雅子が厳しく批判した。

「どの民間企業でも1円のコストをどう下げるか、超円高でグローバル競争をしているわけですから、こんなドンブリ勘定でやっていたんだと開いた口がふさがらない。民間企業の一般的な感覚とはかなりズレがある」

   ところが、「Newsweek日本語版編集主幹」の竹田圭吾はこんな感想を言う。

「総括原価方式そのものが悪いというわけではなくて、ガス、水道、タクシーも国交省がこの方式でやっている。公益性が一定割合であるものについては、トラブルがあった時に社会全体に迷惑がかからない保険みたいなもの。必要だと思う」

   しかし、それは程度問題だろう。司会の小倉智昭は「だからといって、われわれは東電から(電気を)買うしかないわけですよ。競合する会社がないからこういうことになるんだろうね、われわれが負担せざるを得ないのかなって考えるわけで…」

   民間の活力をと、国の公営企業を民営化している一方で、こんなドンブリ勘定が許されるわけがない。この話は、原発の再稼働問題をどうするか、発送電分離や地域独占の見直しなど構造にメスを入れないと進まない。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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