さしもの豪腕も落ち目と見切った登石裁判長「元秘書有罪」
9月26日(2011年)、東京地裁・登石郁朗裁判長は小沢の元秘書3人に対して有罪判決をいい渡した。問われていたのは準大手ゼネコン「西松建設」のダミー政治団体による世田谷の土地取引を巡る政治資金収支報告書の虚偽記載である。登石裁判長は水谷建設からの裏献金についてもこう断じた。
「合計一億円を小沢事務所が要求し、被告人石川と同大久保が受け取ったことは、合理的な疑いなく認められる」とし、犯行動機を「被告らはゼネコンとの癒着が公になることを恐れ、犯行におよんだ」
登石裁判長は小沢がこれまで曖昧な説明に終始していることに対しても、「四億円を用意した小沢の供述も変遷を繰り返しており…信用できない」と指摘し、「被告らは法の趣旨を踏みにじり、政治活動や政治資金に対する国民の不信を増大させた社会的影響を見過ごすことはできない。不合理な弁解を弄して責任を頑なに否認し、反省の姿勢を全く示していない」とした。
検察不信の嵐の中でこうした判決を出したのは、そうした流れを押しとどめようという政治的な意味合いが強いような気はする。また、裁判ではおなじみの「社会的な影響を見逃すことはできない」という常套句はいただけない。国民の政治不信を増大させているのは政治とカネの問題だけではないし、否認している被告が反省するわけはない。
この裁判を批判している側から、この判決が「あまりにも政治的」「検察に乗せられた司法の巻き返しだ」という声があがることも間違いない。だが、登石裁判長は永田町の勢力図や世論の動向などを十二分に考慮に入れ、こうした判決を下しても大丈夫と判断したのだろう。それは小沢一郎の政治力が確実に減じつつあるからである。