そもそも、今夏の東京電力管内の電力供給は本当に不足しそうだったのか。経産省や東電のシナリオに踊らされていたのではないか。暖房需要で冬に再び電力不足が懸念されているなか、玉川徹(テレビ朝日ディレクター)が「そもそも総研」コーナーでデータをもとに検証を行った。結論は、少なくとも家庭用の節電については無意味と出た。
ピーク時でも予備率確保
東電管内の電力使用量ピーク時(2011年8月18日)のデータをもとに計算すると、供給力は5460万キロワット、使用実績が4922万キロワットで、使用実績の内訳は大口需要家約1450万キロワット(前年ピーク時比600万キロワット減)、小口1750万キロワット(同400万キロワット減)、家庭用1700万キロワット(同100万キロワット減)だった。
かりに家庭で節電しなかった場合は、100万キロワット増になり全体で5022万キロワットにかさ上げされるが、電力使用率は90%から92%にアップするだけ。必要とされる予備率の7%は確保でき、節電の必要はなかった。もっとも、これは家庭用電力だけで、節電に貢献した事業用の大口、小口需要家の節電は含まれておらず、肝心なのはそこをどうするか。
河野太郎議員「逼迫する時間帯だけ料金を高くする」
自民党の河野太郎議員は「少なくとも当初の無計画停電はデタラメだった。経産省の罪は重いですよ。『原発が止まったら危機ですよ』と演出した感じは否めない」とし、次のような提案をする。
「東京の8月の1週間の午後何時間かの電力が足りないなら、その期間だけ電気代を高くすればいい。逼迫する時間帯の日にちだけ電気料金を高くすれば、企業によっては『そこは夏休みを取りましょう』となる。工場の自家発電を動かして、その分、電気を高く売れるわけですから一挙両得。
市場のメカニズムで電気の調整ができるようにルールを改正する必要がある。それができることを今夏の実績は示した」
これを聞いて司会の羽鳥慎一は「もともと電気料金は高いうえ、また大幅に上げようとしている。それさえもなくても済むかもしれないですね」とつぶやいた。
地域独占にあぐらをかいてやりたい放題の電力会社。不透明な料金制度にメスを入れる今がいいチャンスだろう。