「おにゅーッス」コーナーで上田まりえアナが、「加藤さん、記憶に残るCMは何ですか」と聞く。司会の加藤浩次は「昔だったら黄桜ですね。ラッパー、ルッパッパー」(これは古い)。上田は「ン?」
加藤「黄桜知らな いの?」
上田「初めて聞きました」
しかし、これなら誰でも知ってる。旅館の玄関で「サカイ、安い~、仕事きっちり!」(サカイ引っ越しセンター)、2匹のイヌが将棋盤をはさんで、「ゴンゴンゴン太のササミジャーキー、どや?」(サンライズ)、「You wanna 酔わないウメッシュ」(チョーヤ梅酒)…。これすべて同じ作曲家の作なのだ。
「ウトウトしてると音が下りてくる」
上田の前に現れた金髪、メガネの怪人が、ヒットメーカーのCM演出・作曲家の杜若(かきつばた)清司さん(43)。CMプロダクションに演出で入ったのだが、14年前に試しに作った「ササミジャーキー」でロンドン広告賞・部門グランプリを獲って音の方も本職になった。
商品名を何度も繰り返すので、ついたあだ名が「連呼のかきつばた」。たとえば、「玄関開けたら、サトウのごはん」(佐藤食品工業)、「いちぃにぃ サンガリア」(サンガリア)などなど、商品名や社名のもつリズムをそのまま生かす。「こてっちゃん(エスフーズ)」「さらりとした梅酒(チョーヤ梅酒)」など約30社のCMを手がけてきた。アイデアはどう湧いてくるのか。スタジオの隅で居眠りしたりして、「ウトウトしていると、(音が)下りて来る」と話す。楽器は使わない。
近くの店を訪ねて即興でCMを作ってみせた。居酒屋「樽平」。店主に「演歌的な方がいいかしら」と聞くと、「演歌は好きじゃない。もっとかっこいいやつ」。そこで「山形 芋煮と雪迎え 樽平、樽平、江古田の樽平~~」とやって、「どう、ダメ?」「うん、ラップでもやったら?」「出直してきます」という残念な結果に。
次が韓国料理の「パクちゃん家」。ここではウクレレを持って、「パ パ パクパクパクパク パクッちゃーん カンカン韓国料理 マシッソヨ」とやったら、店員さんに大ウケで「子どもが口ずさんだりしそう」。「子どもにウケるというのは最高の褒め言葉ですよね」と杜若さん。