「国会は何をやっているんですか」と「満身の怒り」を爆発させた東大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授。半年が経過した原発事故のその後の処理について青木理(元共同通信記者)がインタビューした。
そこで語られたのは、やはり収まらない怒りだった。
「安全委に一人も除染の専門家いない」
怒りの矛先は、8月30日に公布された環境汚染に対処するための通称『除染法』。省令など何事かを決めるには、この法律に基づいて現在の原子力安全委員会の意見を聴かねばならないことになっている。これに怒りが爆発した。
「とんでもない話です。原子力安全委員会の一番の問題は住民を見ていない。スピーディー隠しの一件で(委員の)全員がダメですと言っているんです。原子力安全委員会に一人も除染の専門家はいない。そんなのがやっているから道路や住民のための除染なんて出てこないんです」
こうした怒りについて児玉は「原子力に関わってきた人たちが、仲間内でやった反科学的な行為に対する怒りです」という。
道路をきれいにし交通の流れをつくる
その一方で、怒りを抑えながら児玉は福島と東京を繋ぐ常磐自動車道を除染し、復興に利用すべきだと提言している。その理由を次のように語った。
「3週間前から常磐自動車道の放射線量を測定していたら、周辺の土壌を含め意外ときれいなんです。町民や役場の人も調査に参加したいという。国が抽象的に除染やりますと言ってもピンとこないが、自分たちの町を復興する。道路をきれいにし交通の流れをつくる。そこからやって行かないとダメです」
スタジオで青木が、インタビューした感想を次のように話した。
「激しい人と思っていたのですが、むしろ内に秘めた闘志を感じました。本当の専門家、信じられる専門家が東大にもいるんだと感激しました」
文
モンブラン