臨場感と迫力あふれるアクションシーン
タイトルのアジョシはおじさんという意味で、ソミはテシクのことをそう呼ぶ。隣の部屋に住むおじさん。それ以上でも以下でもない関係であったはずの2人だが、引き離されて絆の強さに気付く。いつも冷静で、冷たく振る舞っていたテシクが、ソミが連れ去られて激しく動揺するという変化がいい。ただ、テシクの過去の描かれ方はステレオタイプだ。テシクは愛人を殺された過去を持ち、これがソミを命がけで助けようとする底流となっているのだから、もっとていねいな描き方をすべきだった。
この映画の最大の魅力はなんといってもアクションシーン。ウォン・ビンの鍛え上げられた肉体から繰り出される複雑な動きが素晴らしい。また、視点カメラをうまく利用したカメラワークもアクションを際立たせる。3D大作映画が多く製作されている昨今だが、3Dに頼らなくとも、工夫次第でそれ以上の臨場感が出せることを証明している。
ヒロインの少女を見事に演じきったキム・セロンもいい。隣の部屋の少女を助けに行く変人のおじさんに感情移入できるのは、キム・セロン演じるソミの可憐さにある。
人身売買という暗いテーマを扱いながら、しっかりとしたエンターテイメント作品に仕上がっているこの映画、ウォン・ビン好きにはたまらないだろう。
野崎芳史
おススメ度☆☆☆☆