現場は判断できない「廃炉」にするかどうか
これを読んでいる方は、私が事故直後の3月13日に公表した「地震のとき北京で勝俣東電会長と一緒にいた」ということを思い出してほしい。あとになって清水社長も奈良方面にいたことが判明するのだが、東電の決定権を持つトップ2人が震源地から遠く離れ、東電本社で2人が揃ったのは、どう考えても地震が起きてから丸1日近くが経ってからのはずである。原発事故は現場だけで判断できるはずがない。廃炉にするかどうかを含めて、トップの決断がなければ動きがとれなかったはずである。
私は東電の不幸が日本人全体の不幸になってしまうのではないか、そこのところをしっかり検証してくれと新聞を含めたメディアに話したのだが、どこも検証したところはないようだ。
この記事を読んで、東電が隠したいのは非常時には、現場はもちろんだが、トップが即断するべきことも細かく書いてあるのではないか。しかし、そのトップ2人とは満足に連絡さえ取れなかった。そのことを含めて東電は隠したいのではないか。この私の推測はそれほど間違っていないのではないか。ページに載っている勝俣東電会長が自宅から出てくる写真を見ながら、私は考え込んだ。