東京都は天然ガス発電所を建設して電力事業に参入するという。「独占市場をどう弾力化するか。イニシアチブを国に示したい」(猪瀬直樹副知事)そうで、大いに歓迎したいところだが、現政権にその気があるのかどうか。
電力会社の「発送電一体」を崩せ!
東京都の計画は原発1基分に相当する100万キロワットの発電所を4年後に完成するというもの。立地場所として、砂町水再生センター用地や旧江東清掃工場跡地など5か所の候補地を挙げている。生産される電力量は都内の最大消費量の6%に相当し、都営地下鉄や都立病院に供給する予定という。
もっとも障害もある。電力会社の発送電一体という現状では、東京電力の送電線を使って電力を供給するしかない。その託送料金は割高になっており、都が供給する電気料金は東電より3割ほど高くなってしまう。猪瀬は「参入障壁をどう取り払うか。独占的な市場をどのように弾力性のある市場に変えるか。電力が低いコストで安定的に供給できるようにイニシアチブを国に示していきたい」という。
野田首相は国会答弁で、「あらゆる主体の電力供給への参加を促す供給構造の改革等によってコスト削減が持続的に進む仕組みを築いて参ります」と語っているが、どこまで本気かどうか。玉川徹レポーターによると「野田さんに電力改革を尋ねた時は『中期的な課題として検討したい』と語ったばかり。当てにはできません」という。
野田首相はのってくるか…
経産省の改革派官僚・古賀茂明はこう見る。
「(野田発言は)具体性がないですね。供給構造の改革といって、今までにも自由化を何回かやってきましたが、新規参入はほとんどなかった。大阪の橋下知事にもやってもらえたらいいなと思う。
ただ、考えなくてはならないのは、なぜ都がやらなければならないかということ。本来は、民間でやってもらうのが一番いい。でも、発送電一体で送電料金が高いとか、いろんな条件が厳しいために民間企業が入りにくい。都にそうした問題を明らかにして変えていく突破口を開いてもらい。民間がどんどん入ってこられるような環境整備に繋がって行けばいい」
まわり遠い迂遠な方法だが、そこまでしないと政府は動かない。