60ページの書類に記入し領収書添付
それに比べれば、賠償の対象になった人は少しは「明」なのだろうが、これにも問題があると取材したリポーターの所太郎は言う。東京都内で避難生活を送る夫婦は、東電から届いた賠償請求の用紙を見て驚いた。請求書類が60ページ、その書き方を説明するマニュアルが156ページもあった。
夫は「カタログショッピングじゃないんだから、これを書き上げるなんてわれわれ素人でできるんでしょうか。高齢者の方は大変だ」と戸惑う。3月11日時点に遡って記憶を呼び戻し、馴染みのない漢字や熟語が並ぶ書類に書き込み、必要なレシートを探して添付して東電に提出する。しかも、今回の請求は3月11日から8月31日までの分。それ以降は3か月ごとに同じことを繰り返さなければならない。まことに煩雑だ。
東電では賠償金額の確認作業を行い、合意に達すれば10月から支払いを始めるが、合意にいたらなければ被災者は原子力損害賠償紛争解決センターに持ち込んで和解調停してもらうか、それでも解決しなければ訴訟するしかない。
文
モンブラン