台風12号豪雨―ワイドショーが目の当たりにした深層崩壊と濁流の現場

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   <今週のワイドショー通信簿>東日本大震災で大津波に襲われた被災地のような光景だった。台風12号による記録的豪雨で紀伊半島各地で河川の氾濫、大規模な土砂崩れが発生、多くの家が流され押しつぶされて100人を超える犠牲者が出た。

   ワイドショーも現場とスタジオから被害状況、避難の遅れの原因を伝えた。各地で発生したのは単なる土砂崩れではなく、連日続いた豪雨で地下30メートルの岩盤から浮き上がり、山が崩れたと伝えたのはTBS系「朝ズバッ!」。「紀伊半島ズタズタにした『深層崩壊』岩盤ごと崩落」(2011年9月7日)では、「土砂崩れは表層の数メートル前後で起こるが、深層崩壊は岩盤ごと崩れる。それだけ被害も大きくなる」という独立行政法人・土木研究所の小山内信智さんの解説を紹介、群馬大学の片田敏孝教授に「地球温暖化によって豪雨が降りやすい環境となっている、その結果、これまで安全と思われていた地域も安全ではなくなりつつある」と警告させた。

   同じ日のテレビ朝日系「モーニングバード」は、東京都内だけでも土砂崩れの危険がある崖が3700か所以上もあり、最も多いのは赤坂や六本木などの繁華街がある港区だとびっくりする報告。都内の急傾斜地は盛り土をして造成した土地が多く、土止めのコンクリートの老朽化が進んでいるためだ。

住民避難なぜ遅れたのか

   「朝ズバッ!」(9月6日)は自治体の避難勧告・避難指示が出されていなかったり、遅れて被害を大きくしたと指摘する。番組で東大非常勤講師で気象予報士の河合薫がこう言っている。

「台風は予測できる。予測できるから備えることができる唯一の災害といわれている。しかし、今回、雨が降っていることはわかっても、的確な避難勧告を出すことができなかった。昔と同じ方法で防災訓練を行っていた。今の防災訓練を実施し、今の防災に取り組んでいかなくてはいけない」

   各自治体は防災マニュアルに基づいて避難指示や勧告を出したが、最近はその前庭を越える超える規模とスピードの災害が派生する。これまで通りの対応では間に合わないというのだ。たしかに、都会のゲリラ豪雨といい、竜巻の発生といいい、これまでの日本では珍しかった気象災害が増えている。ワイドショーにとって「気象」は大きなテーマになってきた。(テレビウォッチ編集部)

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