9・11から10年「アメリカは惨憺たるもの」(フランシス・フクヤマ)

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米国もアラブも知った「力で押しつけることの限界」

   スタジオの藤原帰一・ 東大大学院教授は、「国家関係は分散・拡散に向かう。オバマ政権には新しい国際協調の仕組みができていない。従って、各国とも内向き志向になる。アメリカはアメリカとアメリカ人の安全と平和を優先するようになる。国際関係はコストが高いから。今回のリビアへの対応でそれがはっきりと出た」と話す。

   山内昌之・東大大学院教授は「アメリカもアラブも、自分の価値観を押し付けることの限界を知った。アフガン、イラクの教訓は、力で押し付けることはできないということだ。これは文明論の問題。アラブの諸国にも構造的変化が起っている。アメリカが社会開発だけでなく、人間の開発まで手伝っていけるかどうかだ」という。

   「9・11」がいかに衝撃だったとはいえ、その後のかくも長い不毛の展開をだれが予想できたろう。イラク戦争が終わったとき、米兵の戦死者は139人だったが、いま4477人 だ。日本が自衛隊を派遣したのも記憶の彼方。アラブ世界ではテロではなくデモが起るようになった。

   しかし、アタリ氏がいうように「本当の敵」はそのまま。とりわけ貧困である。山内教授のいう「人間の開発」となると、気の遠くなるような彼方のものに思えて来る。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2011年9月8日放送「世界を変えた9・11~アメリカ同時多発テロから10年~」)

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