野田新内閣の目玉の一つ、小宮山洋子厚生労働大臣の問題提起が波紋をよんでいる。早くも内閣の足元の乱れというわけだ。たばこの値上げについての発言である。たばこの値段については、禁煙家と愛煙家の間で高いとみるか安いとみるか、おおいに見解が分かれるところだ。閣内には野田佳彦首相はじめ愛煙家もいる。「朝ズバッ!」のメンバーにも両方いるようだ。
「1年に100円ずつ上げても税収は下がらない」
小宮山は9月5日(2011年)の会見で、「いまのたばこの値段(400円台)を1年に100円ずつ上げて、3年後には700円台にしたい」と述べた。小宮山は超党派の禁煙推進議連の元事務局長で、根っからの禁煙論者。昨日今日の思いつきではない。満を持しての発言だろう。たばこは昨年10月に1本当たり3・5円上がったばかりだが、外国に比べるとまだまだ安いという指摘もある。700円という価格については、「700円台まで上げても税収は下がらないというデータがある」(小宮山)からだそうだ。
さらに、小宮山は「たばこ事業法は財務省の所管だが、厚労省に移管する方向で協議したい。もともと税収のためだけでなく、(喫煙率を下げて)健康のためにやりましょうといっている」と話し、これも禁煙派の人たちが従来から主張していることだ。
喫煙家・野田首相「オヤジ狩りみたいなもの」
これに対し、愛煙家はどう反論するのか。野田首相はつい2か月前の財務相のとき、「たばこもお酒も税制を通じたオヤジ狩りみたいなもの」といったことがある。女房役の藤村修官房長官も「私はスモーカーなのでコメントすべき立場にない」と煙にまく。所管大臣の安住淳財務相は「取りやすいところから取るのではなく、いろいろな税目を検討しながら対応したい」と慎重な姿勢だ。
司会のみのもんた「たばこの害については真剣には考えなくてはならない。私も吸う方ですから、あれですが…。百害あって一利ありますか」
東大非常勤講師の河合薫「ストレス発散ですか」
たばこを吸わない尾崎弘之(東京工科大学教授)は「がんや動脈硬化との因果関係がはっきりしている。医療費削減の面からも考えるべきだ」
杉尾秀哉(TBS解説・専門記者室長)「私はやめました。ただ、野田総理が愛煙家でお酒飲んだときなんかスパスパ吸っていますからねえ」
社長が愛煙家のため、社内の禁煙対策が進まないというワンマン会社の話を聞くことがある。首相が愛煙家かどうかで、一国の税制論議が左右されてはかなわないが、どんな決着となるか。