ご存知のとおり、リビアでは反体制派が勝って官軍となり、彼の地を42年間も独裁的に統治したカダフィ大佐(大佐なる軍隊的な肩書が一国の体制によって与えられるものだとすれば、そのレジームが崩壊した以上は『カダフィ元大佐』とでもすべきかもしれない。が、番組の呼称に従おう)は、最後まで戦い抜く宣言はどこへやら、雲を霞と消えてしまった。
新生リビアの行方はどうするどうなる? 反カダフィで一致していた国民評議会は今後まとまるのか。民主的国家と生まれ変わるのか、はたまたイスラム教色が強い国家になるのか。国際、政治的興味は尽きないが、詳しいことは割愛したい。遠く、よく知らないリビアとリビアの人々、そして政治について真剣に関心を持ったり、思い悩めるところの善良な日本人向けの内容である。
拘束までは新生リビア踏み出せず
そこで「カダフィ大佐の行方」に集中するとしよう。実際、ワイドショーでもカダフィの行方は小さからぬ話題だ。落ちて、逃げ出した長年の独裁者が、どのようなルートで脱出し、いまどこに潜んでいるのか。
在リビアの記者からの最新情報。「アルジェリアとの国境付近、あるいはすでにアルジェリアにいる」。
アルジェリア政府はカダフィの家族を保護しており、カダフィ大佐については匿ってないとしているが、その言葉とは裏腹に、ひそかに匿う可能性があるという。あるいはリビア中部のシルトで、自分と同じ部族10万人に守られている可能性もあるそうな。
いずれにしろ、「大佐の拘束は容易ではない」そうで、首に賞金のかかったお尋ね者が絞首台で死のステップを踏むまでには、まだまだ時間がありそうだ。
ボンド柳生
*NHKクローズアップ現代(2011年8月30日放送「『カダフィ後』新生リビアの行方」)