アニメ「ヤッターマン」のとぼけた悪役「ドクロベエ」や、日本テレビ系のの旅番組「ぶらり途中下車の旅」のナレーションで親しまれた声優・滝口順平さんがきのう(2011年8月29日)胃がんのため亡くなった。80歳だった。
阿藤快「会話しながら一緒に旅してる感じ」
最後となったこの7月30日放送の「ぶらり」の一場面が流れた。旅人のかとうかず子が「いいこと思いついた」と言って駅の改札を抜けていく後ろ姿へ、滝口のナレーションが入る。
「なになに、どうしたの? かとうさん、いったいどこへ行くの…」
なんともとぼけた、えもいわれぬ味わいだ。滝口は「ぶらり」のナレーションを1992年から20年近くも続けてきた。その数「958回 」というから驚く。
この番組に旅人としてしばしば登場した俳優の阿藤快は、「非常に残念ですわ。現場ではオレ1人で旅してるんだけど、(滝口さんの)ナレーションが入るから、そこで滝口さんと会話しながら一緒に旅してるっていう、そんな感じがしましたね。非常に残念ですが、心の中ではずっと生きていますから」と惜しむ。
キャスターのテリー伊藤が「独特の声ですよね。一緒に旅してるっていう感じ。ああいう声を出す人ってなかなかいないじゃないですか。ホントに味のある声優さんでした」
初の「海外ドラマ」全部の役を一人で演じ分け
森圭介アナが「日本を代表する声優さんでした」と経歴を紹介したが、日本に海外ドラマが入ってきたとき、最初に吹き替えをやったのも滝口さんだったという。ドラマは「カウボーイGメン」。56年のことで、すべての役を1人で演じ分け、しかも生放送だそうだ。
テリー「ということは、声も変えて?」
森「女性の声もやった」
スタジオ「エーッ」
森「日本の吹き替え文化は、滝口さんから始まった」
テリー「草分けだね」
司会の加藤浩次「唯一無二の存在でしたよね。いまは(番組内容を)詰めていくようなのが多いなかで、のんびりしたのが好きだった」
テリー「いい声してたよな」
かくてまたひとつ、いぶし銀の味わいが消えた。