8月29日(2011年)に予定されている民主党の代表選は事実上の次期総理を決める選挙だが、出馬表明した候補者からは国難にあえぐこの国をどう引っ張っていくか一向に見えてこない。
国民不在の総理選びに業を煮やした番組の玉川徹(テレビ朝日ディレクター)が、最も注目されている脱原発と電力会社の地域独占を見直し、競争原理を導入する「発送電分離」の問題を候補者たちに直撃した。
政界、官界、財界というトライアングルへの挑戦状
福島第1原発の事故で突き付けられたこの重要課題について、民主党政権は本腰を入れた議論を避けてきた。番組にVTRで登場した経産省の批判を続けるあの古賀茂明(大臣官房付)は、その背景を次のように解説する。
「電力会社の一番根幹のところに手を触れるということは、政界、官界、財界というトライアングル挙げての抵抗にあう。とくに、発送電分離は電力会社から見れば、自分の会社を2つに引き裂かれる話で、これまでのようなコストを全部電気料金に転嫁する殿様商売ができなくなる。
電力会社は経済界を支配し、労組を通じ民主党を支配し、天下り先を供給することで官僚の世界を支配してきた。この根幹に本気で触れれば大変なことになる。発送電分離を『将来やります』ではなくて、『すぐやります』『いついつまでにやります』という答えが返ってくれば、相当な覚悟か頭が悪いかどっちか」
前原「20年後」、馬渕「新規建設」、鹿野「回答なし」
野田財務相は「中・長期的課題と思う」、小沢鋭仁元環境相は「発送電分離の方向で考えなければいけない」、馬淵前国交相は「基本的にはやるべきだが、全電力体制をバッサリやるのがいいのか、東電からやるのがいいのか。法的整理をして東電からやるのがいいと思う」、海江田現経産相は「検討に与えする考え」、樽床元国対委員長は「コストや停電のリスクを考慮して検討する」、前原前外相と鹿野農水相は回答がなかった。
脱原発については、具体的に答えたのは馬淵前国交相。「原発をゼロにしても使用済み核燃料は残り、核とは共に生きていかねばならない。高度な技術で新規の原発建設もありうる」とする。脱原発で最も短い目標を明示したのは前原前外相で「20年ぐらいの期間で原発を減らし、最終的になくすためのロードマップをしっかり作ることが必要」と言う。あとは「依存度を減らすことは必要だが、ゼロについては慎重な検討が必要」(野田財務相)、「廃止に向けていくことが重要で目標は2050年」(小沢元環境相)、「将来的には減らす方向」(海江田経産相)、「新規建設は凍結」(樽床元国対委員長)、鹿野農水相は回答なし。
松尾貴史(タレント)は「馬淵さんははっきり出しましたね」と言い、立花胡桃(作家)は「馬淵さんは怖い」と言う。
赤江珠緒キャスターが「一番踏み込んでいるのは?」と聞くと、取材した玉川は「前原さん。20年と短い答えが返ってきたから」。しかし、司会の羽鳥慎一が「一番大事なのは言ったことをきちっと実行するのかどうか。マニフェストでいろいろ言ったが全部ダメだった」ときつい一発。