福島第1原発事故の対応について、福島県の子どもたちの意見に原子力関連の霞が関の役人が応対する会が17日(2011年8月)都内であった。
ところが、4人の子どもたちの率直な質問に、文科省や内閣府の原子力災害対策本部の官僚10人はタジタジ。マイクを持つのを躊躇し、たらい回しした揚句、しぶしぶ答弁に立っても質問の趣旨にはずれた答えに失笑を買うなどお粗末さをさらけ出した。終了後、質問した子どもの一人は「子どものころちゃんと勉強してこなかったのかな」とボソリ。
「きれいにするって、なんで早くやらなかったんですか」
橋本伽耶さん(13)と原子力災害対策本部の金城慎司のやり取りはこんな具合だ。
――きれいにするという考えがあったら、なんで早くやらなかったんですか。
「物理的な条件も示させていただいて、最後は皆さんの安心を確保しないと帰れませんので、そこのところは住民の皆さん、市町村の皆さんとよく相談してこれから避難区域の解除などを検討していくというのが政府の方針です」
――どうして早くやらなかったかって聞いたんだけど。
「今のは、除染の取り組みということですか。ではなくて避難区域の解除?」
――除染の話です。
「除染の件につきましては、地方自治体のほうの動きも承知しております。国としても学校のほうとできる限り取り組んできたかと…」
川俣町、飯館村の子ども45%に甲状腺被曝
司会の羽鳥慎一「子どもたちの率直な意見が心に刺さりますね」
作家の立花胡桃「子どもがわざわざ福島から来たのに、大人は何をやってんだと言いたい。子どもが質問する時、メモとっているばかりで目を見て聞いていない。誠意が感じられない」
さらに、テレビ朝日の玉川徹ディレクターは「官僚なんて昔からこんなもんですよ。原発がこういう状態のなかで、人間個人としてこの問題に向き合うことが重要。あのなかで個人として語る官僚は一人もいなかったのはダメだなと思う」と切り捨てた。
官僚のはぐらかし、ズレた答え方は毎度のことだが、今やそんな呑気な対応をしている場合ではなくなっている。いわき市や川俣町、飯館村の子どもたち1149人の内部被ばくを検査したところ、45%に甲状腺被ばくが確認されたことが明らかにされた。子どもの保護者には「問題ないレベル」と説明されたという。
これにも玉川は、「癌のメカニズムについて何も分かっていないのに、新聞も軽々に『問題ない』などと書いてほしくない」と、新聞がよく使う間接的な引用で事足れりとする書き方を批判した。