30年ぶりに来年度から中学校で放射線に関する授業が復活するという。驚くのは、被爆国でありながら30年もの間、義務教育で放射能についてまったく触れなかったこと。モニバドはどうして「30年間の空白」が生まれたのかに迫った。
「ゆとり教育」だけが理由なのか?
司会の羽鳥慎一や赤江珠緒も、都心で買い物中の若い家族連れも、口をそろえて「習った記憶はありませんねえ」「ベクトルとかシーベルトとか知らない用語がばかり」と言う。
なぜこんなことになったのか。背景には30年前から始まったゆとり教育がある。1981年に当時の文部省が実施した学習指導要領の改訂で放射能に関する記述をなくしたために、義務教育で全く扱ってこなかったらしい。ゆとり教育で授業時間数が減少する中で、あまり重要視されていなかった原子力、放射線の記述が消されたというのだが、はたしてそれだけか…。
放射線教育に詳しい首都大学東京の福士政広教授はこう言う。
「広島、長崎の被爆から今年で66年目。唯一の被爆国が義務教育でひと言も触れないというのは問題があった」
それでも外した理由を、『放射線・原子力と教科書』の著者の元信州大教授の飯利雄一はこう指摘する。
「放射能というのは原子力の先、末端という考え方がどうもあったようだ。(教科書を)作る側がこれは外した方がいいという気持ちになったのではないか」
広島出身の東ちづる「私は授業受けてました」
そんな中で、広島は他とは違っていた。広島出身の女優・東ちづるは次のように話す。
「そうですね、私たちは(放射能の)受けましたね。人体への影響とか。恐れさせるためではなくて、人は(原子力を)どう活用しようとしているのか教わった。
30年間なかったことに、今回初めて知りショックを受けていますが、ゆとり教育で外されたのかどうかは、いまいちスッキリしない」
復活は2008年に決まっていたことだが、福島第1原発の事故で、「もっと勉強すべきだ」との声が強まり、さっそく小中高校生向けに3種類の副読本を作り、2学期開始まで間に合うように全国の学校に配布するという。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト