何とも奇妙な事件だ。同じような一斗缶3つ にバラバラにした少なくとも2人分の遺体。大阪・天王寺区の住宅街にある公園や駐車場でそれらを置いた男女も目撃されていた。なんで そんな人目につくところに置いたのか。
缶に薬品名と製薬会社名
人目があるから見つかるというわけではないらしい。目撃があったのが7月20日(2011年)ころで、公園で最初の缶が見つかったのが8月14日だ。警察が捜査をしているうちに、2つ目が駐車場で見つかり、翌15日になって大阪市の清掃局のセンターにもう1つ。これは5日に回収していたが、ふたを開けていなかった。
1つ目の缶からは頭部、右足首が2つ。2つ目からは左右の手首、骨盤、肋骨、背骨など。3つ目からは左足首。この缶にはラベルが貼ってあって、薬の名前と製薬会社名もあったが、なぜか「スッキリ!!」「スッキリ」はそれを公表せず。
また、2つ目の缶は警察が発見する前に読売新聞の記者が開けていたが、関係ないと思ってまたふたを閉めていたというから、ずいぶん間抜けな記者だ。報道に細かいばらつきがあるのは、警察がちゃんと発表しないからだろう。
臭いが出てきて切羽詰まった
さっそく謎解きだが、登場するのはいつも同じ人だ。東工大の影山任佐教授と元監察医の上野正彦さん。
影山「臭いが出てきて、切羽詰まって捨てたんだろう」
上野「頭部は身元を特定する大きなてがかり。世間知らずの犯行かな」
司会の加藤浩次は「隠そうとしてるように見えない」と訝り、キャスターのテリー伊藤は「普通なら海とか山とかに捨てて、わからないにようにするのに、捨て方が荒っぽい」という。リポーターの阿部祐二も「なぜ人が通るところに、というのが疑問です」
弁護士の菊地幸夫は「DNAで親子とかわかるだろうし、製薬会社もてがかりになる」
テリー「監視カメラだってあるだろうし。いなくなって2か月経ってもリアクションがないということは、普通の生活をしていない」
とかなんとか、ワイワイいったところで、何にもわからない。警察が細部を明かさないから、いくらいっても靴の上から掻いているようなものだ。
わかってきたのは、大坂人が意外とのんびりしていて、無関心だということ。これは昔とかなり違う。変わらないのが大阪府警の秘密主義。「グリコ・森永事件(1984年)」 の頃と同じだが、対するメディアの方はすっかりダメになってしまった。