「でたらめ委員長」「税金ドロボー」「解任」…怒号が飛び交う中、原子力安全委員会の班目春樹委員長が会議を放棄して退席する騒ぎがあった。
定期検査で調整運転が5か月も続く北海道電力泊原発3号機。11日(2011年8月)に「行われた営業運転再開を巡る安全委の会議での出来事だ。
保安院に下駄預け「しっかりやって」
ことの起こりは最終審査を終えた原子力安全・保安院が、北海道庁の判断を得ずに安全委の意見を踏まえ運転再開する段取りを進めたこと。ところが、安全委の班目委員長はこの日の会議で「本件につきましては、規制行政庁である原子力安全・保安院がしっかりとした判断をすべきだと委員会は考えております」と保安院に下駄を預けてしまった。傍聴していた市民団体から「安全委は何もやらなくていいんですか」「二重チェックはパフォーマンスですか」と猛抗議が起こり、しまいには冒頭の怒号が飛び交い委員長が退席する始末になった。
北海道庁の判断を得ずに進めた保安院に、高橋はるみ知事は「地元軽視ではなはだ遺憾」と抗議した。相変わらず旧態依然とした安全委の無責任な対応に地元が反発するのも無理はない。
相変わらずの馴れ合い原子力村
元共同通信記者の青木理は「こんなに悲惨な状態なることが分かって、この人たちが安全と判断しても信頼されない。OKで動かしても本当に大丈夫なの、この人たち責任感があるのと思っちゃう。失礼だが、(班目委員長の)VTRを見て失笑に近い感覚を覚えた」と話す。作家の吉永みち子は次のように指摘する。
「そもそも安全委が最終審査で判断をしなければならないのに、それを保安院に投げた。しかも保安院は本来の役割を果たさず『推進院』としか思えない。
そうしたなかで、誰が原発をチェックし安全に対するブレーキを確保してくれるのか。即座に改組なり改革して信頼できるブレーキをつくらない限り、すべての原発がこうなってくる」
政権がごたつく今がチャンスとばかり、海江田経産相を引き入れ原発推進を強引に推し進める経産省を中心とした「原子力村』。脱原発依存を表明した菅首相ももはや力尽き辞任で元の木阿弥か。