「5か月なんだな」というつぶやき――きのう11日(2011年8月)、東北3県10か所で追悼と復興の願いをこめた花火大会「LIGHT UP NIPPON」が行われ、2万発が打ち上げられた。
「天国から見てる」「嬉しくて涙が出ました」と思いは人それぞれ。迎え火でもあり希望の光でもあった。「私たちは慰霊でやるが、子どもたちはきれいだと。それだけでいい」
廃墟に流れた坂本龍一の「赤とんぼ」
岩手・大槌町の大会で代表をつとめた三浦秀次さんの思いは複雑だった。大槌町では796人が亡くなり、いまも653人 が不明のままだ。三浦さんも、家族は無事だったが、精肉店と家、財産を失った。商売は別のところで再開したが、6月から仮設住宅に入った。
「LIGHT UP NIPPON」を企画したのは、横浜出身で学生時代に大槌町にいたことがある高田佳岳さん。震災で東京湾大華火祭が中止になったのを見て思いつ いた。東京湾の1万2000発を持ってこようと実行委を立ち上げ、募金を募って実現させた。「こんなときに花火?」という声もあったが、三浦さんは敢えて踏み切った。「動ける人間が動かないといけない」という。
夫と子どもをなくした女性は「花火で少しは明るい気持ちに、前向きになれるように」という。子どもたちには全国から寄せられた浴衣がプレゼントされた。
10か所で一斉に始まった打ち上げの最初の3分間は、坂本龍一さんの演奏する「赤とんぼ」が流れた。廃墟の空に壮絶な光の輪が描かれる。坂本さんは「花火に使う金があるんなら復興をという人がいるかもしれないけど、これも復興だよ」という。