練習中に突然死したサッカー元日本代表の松田直樹選手(享年34)の葬儀・告別式が9日(2011年8月)、 出身地の群馬・桐生市で行われ、中田英寿、フィリップ・トルシェ監督らとサポーター1500人 が見送った。
「苦しんでいるとき、親はわかっていました」
喪主をつとめた母の正恵さんが、松本山雅FC、 横浜Fマリノスのサポーターを前に挨拶をした。これがすばらしかった。
「なぜ直樹を応援してくれるのか不思議でした。が、皆様に愛されていたのだと気づきました。直樹は最後まで、死にものぐるいでがんばっておりました。私も死ぬまで両チームを応援します。横浜Fマリノス、優勝してください。松本山雅、J2にあがってください」
炎暑のなか、立ち尽くすサポーターの前に進み出て、頭を下げて歩く姿が胸を打つ。
そして息子に向かって、「直樹、本当にありがとう。苦しんでいるとき、親はわかっていました。やっと楽になれたかなと。天国でお父さんと(10年前に他界)見守ってください」
ポジティブ思考、母親譲り
司会の加藤浩次「お母さん、気丈でしたね」
キャスターのテリー伊藤「見事な挨拶でした」
宮崎哲弥(評論家)は「常にポジティブで前向きな、彼の我の強さがどこからくるのかと思っていたが、お母さんを見てわかった。よほど強い意志をもっていないと、ああはできない」と話す。
加藤「松田選手が純粋にサッカーを追い続けた姿は、ファンに一生残るでしょうね」
テリー「ミスター・マリノスのままやめることもできたのに、JFLまで落ちて、這い上がろうとするのはすばらしいことですよ」
この日、日本列島はこの夏いちばんの暑さだった。日本一熱い男を送るにふさわしかったのかもしれない。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト