「格付け会社が何と言おうと、アメリカは『トリプルA』の国だ」
アメリカのオバマ大統領は8日(2011年8月)、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が史上初めて米国債を格下げしたことに対し緊急声明を発表、市場の鎮静化を図ったが、ニューヨーク株式市場は先週末比600ドル超の安値となった。
これより先、主要7か国(G7)財務相・中央銀行総裁が緊急電話会議を行い、市場の安定化へ向けた共同声明を出した。しかし、株安・ドル安の連鎖に歯止めはかからず経済不安は広がるばかりである。世界経済はどこへいくのか。そして、日本経済はどうなるのか。
リーマン・ショックのツケ
「朝ズバ!」は、水曜コメンテーターの「週刊エコノミスト」編集委員の内野雅一が登場して解説した。内野によれば、今回の危機は3年前のリーマン・ショックとは質が違うという。リーマン・ショックは金融の危機だったが、今回は財政の危機。それも巨額の財政赤字だ。
これはコメンテーターの杉尾秀哉(TBS解説・専門記者室長)も指摘していたが、100年に1度といわれたリーマン・ショックを乗り切るために、各国とも多額の借金をして景気対策を打ち出した。その結果、借金が膨らみ、返済できるかどうか不安が生じた。今回の米国債の「AAプラス」への格下げは「財政赤字の削減策が不十分」というのが、その根拠となっている。
スペイン、イタリアに波及
アメリカだけではない。ヨーロッパでも財政危機はスペイン、イタリアにも波及しようとしている。日本の財政も深刻な状況となっており、S&Pの格付けは上から4番目の「AAマイナス」だ。こうした世界的財政危機が一連のドル安・円高の元凶となっている。
財政建て直しのためには、歳出を切り詰め、歳入を増やさなくてはならないが、民主主義国家では選挙があるため、政治家が国民に負担を強いる政策を打ち出しにくい。だが、甘いことばかりでは財政危機は募る一方だ。
ちょうど日本では、特例公債法案を巡り、バラマキの是非が議論され、次の民主党の代表選では増税が争点になるとみられている。今回の世界経済危機、対岸の火事ではない。身近で、しかも根の深いところにありそうだ。