魚とってきても買ってくれない
福島県内1100隻の漁船のうち900隻が被災、残った200隻のうち130隻が松川浦の漁船だった。大津波に打ち勝った100隻以上の漁船は、いつまたやってくるか分からない余震のために沖で一晩過ごして帰港した。しかし待っていたのは、崩壊した家、町、漁港の無残な姿。そして原発事故。
これらの漁船は今、原発事故による汚染問題で漁をしても売れず自粛中。刺し網漁を行う小型船は県外での漁を禁止されていて漁はできずじまい。
水産庁のサンプル調査では、放射能物質の基準値を超えているのは磯魚のアイナメだけ。「漁をするうえで何も欠けていない。100%揃っているが、漁をしても買ってくれる業者はいない」という。
スタジオでは、青木理(元共同通信記者)が「津波の時、漁師たちは天災を先人の知恵で乗り切った。原発の人災事故にはどうしようもなかった。生かせなかったのも辛いだろうし悔しいだろう。原発事故のひどさを改めて感じますね」という。
津波の教訓を全く考慮に入れなかった原子力安全委、保安院、そして東京電力は、傲慢、不遜、狭量としか言いようがない。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト