「これはひどい!」
司会の赤江珠緒が珍しく怒った。大津波でなぎ倒された岩手県陸前高田市の景勝地「高田松原」の松で作った薪に被災地の人たちらがメッセージ書き、京都の「五山送り火」で大文字山などで燃やす計画がご破算になった。
赤江は8月7日(2011年)に陸前高田で、4台あった山車のうち残った1台だけで行われた伝統行事「けんか七夕」を取材してきたばかりで、「高田松原はけんか七夕とまったく同じ場所なんですよ」と無念そうだ。
検査ではまったく検出なし
京都の送り火で燃やそうというアイデアがつぶされたのは、京都市に放射能が飛び散ることを心配する声が数十件寄せられたためという。しかし、検査で松からはまったく放射能は検出さていない。
高田松原には7万本の松が植えられていたが津波で全部なぎ倒され、地元ではやむなく薪にして売ることにしていた。これを伝え聞いた大分県の美術家が発案し、京都大文字保存会に呼びかけたのが発端だった。350本の薪に、震災で家族を亡くされた人や復興への思いを綴ったメッセージを書いて燃やそうと6月末から準備を進めてきた。綴られたメッセージには「絆」や「津波で死なせてゴメン」などの文字が書かれている。
地元の「迎え火」で燃やそう
地元の人も「突然プツンと切れてしまったのは残念に思いますけど…」と無念そうだが、350本の薪は8日に地元で迎え火として燃やされるという。
コメンテーターの青木理(元共同通信記者)は「たかが数十件で『世論が…』になっちゃうことこそ風聞の一番ひどいケース」と怒り、前田典子(モデル)は「そんなこと(放射能汚染が飛び散ること)思っていない京都の人は多いと思う」
それにしても数十件の電話でヤメにしてしまうのも不可解だ。なにか「薪利権」みたいなものでもあるのか。こうなったら、高田松原の松にとっては、京都で「送り火」に使われるより、地元で犠牲になった人々を迎えるほうが本望だろう。